受付時間 土日祝を除く 9:30–21:00

お問い合わせ

告訴状と被害届は何が違うのか|提出前に整理しておく5つのこと

被害にあわれたとき、まず思い浮かぶのは被害届かもしれません。しかし告訴状は、法律上の位置づけが異なる書面です。

詐欺の被害にあった、社内で横領が発覚した、悪質な嫌がらせが続いている——そうしたとき、警察に相談すると「被害届を出しますか」と言われることがあります。ここでよく混同されるのが、被害届と告訴状です。名前は似ていますが、法律上の位置づけは異なります。この記事では、両者の違いと、告訴状を提出する前に整理しておきたい点をまとめます。

被害届・告訴状・告発状の違い

まず、3つの書面の位置づけを整理します。

被害届

被害届は、犯罪の被害にあった事実を捜査機関に申告する書面です。「こういう被害を受けました」と伝えるもので、それ自体には犯人の処罰を求める意思表示は含まれません。捜査のきっかけとしての情報提供という性格が強く、提出のハードルは比較的低いといえます。

告訴状

告訴状は、犯罪事実を申告したうえで、犯人の処罰を求める意思を明らかにする書面です。被害者本人やその法定代理人など、法律で定められた者が行います。被害届との最大の違いはこの「処罰を求める意思表示」の有無です。

告訴が受理されると、司法警察員は、事件に関する書類と証拠物を速やかに検察官に送付しなければならないとされています。つまり、告訴には手続き上の効果が伴うため、被害届に比べて捜査機関側の確認も慎重になります。

告発状

告発状は、被害者以外の第三者が犯罪事実を申告し、処罰を求める書面です。誰でも行うことができます。取引先の不正、公金の不適正な支出、業法違反など、自分が直接の被害者ではない事案で用いられます。

親告罪では、告訴が起訴の条件になる

犯罪の中には、告訴がなければ起訴できないものがあります。これを親告罪といいます。名誉毀損罪や器物損壊罪などが代表例です。

親告罪には、告訴ができる期間の制限があります。原則として、犯人を知った日から6か月を経過すると告訴ができなくなります。「誰がやったか分かってから」の期間である点に注意が必要です。相手方の特定に時間がかかる場合、いつの時点から6か月を数えるのかが問題になることがあります。

なお、かつて親告罪とされていた犯罪の一部は、法改正によって親告罪ではなくなっています。ご自身の事案がどれに当たるかは、個別に確認が必要です。

提出前に整理しておく5つのこと

告訴状は、出せば必ず受理されるというものではありません。捜査機関は、記載された内容から犯罪の成立可能性を判断します。そのため、事実がどう構成されているかが結果を大きく左右します。提出前に、次の5点を整理しておくことをおすすめします。

1. 時系列

いつ、どこで、誰が、何をしたのか。日付と出来事を時系列に並べます。記憶があいまいな部分は「〇月上旬ごろ」など、分かる範囲で正確に書き、断定できない点は断定しないことが大切です。

2. 手元にある資料

契約書、請求書、振込明細、メールやメッセージのやりとり、写真、録音——何が残っているかを洗い出します。資料は、主張を裏づける根拠として添付します。「持っているつもりだったが実は残っていない」ということも多いため、早い段階での確認が有効です。

3. 相手方の特定に関する情報

氏名、住所、勤務先、連絡先など、相手方を特定できる情報を整理します。ネット上のやりとりのみで相手が分からない場合、まず特定の手段を検討する必要があります。

4. 被害の内容と金額

金銭的な被害であれば、その金額と算定根拠を明確にします。複数回にわたる被害の場合は、一件ごとに分けて整理すると読み手に伝わりやすくなります。

5. どの罪に当たると考えるのか

専門的な判断が必要な部分ですが、事実の並べ方は「どの罪の要件を満たすか」を意識して構成します。同じ出来事でも、詐欺として構成するのか、横領として構成するのかによって、書くべき事実が変わってきます。

提出先と、その後の流れ

告訴状は、原則として事件の管轄となる警察署に提出します。窓口では、書面の内容について確認や質問を受けることが一般的です。その場で受理されず、追加の資料を求められたり、内容の補足を求められたりすることもあります。

受理された後は、捜査機関の判断で捜査が進められます。提出したからといって、必ず捜査が開始されたり、処分に至ったりするわけではありません。この点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

書面の「読まれやすさ」という視点

告訴状を受け取るのは、捜査機関の担当者です。行政機関や捜査機関が扱う文書には、いわゆる公用文と呼ばれる書き方の作法があります。この作法にしたがっていない文書は、内容そのものに問題がなくても、読み手にとって理解しづらいものになりがちです。

感情的な表現が多く事実関係が埋もれている、時系列が前後している、主張と資料の対応が分からない——こうした書面は、読み解くだけで負担がかかります。逆に、事実と評価が分けて書かれ、資料との対応が明示されている書面は、内容の確認がスムーズに進みます。

まとめ

被害届と告訴状は、位置づけの異なる書面です。告訴状は処罰を求める意思表示を含み、手続き上の効果を伴う一方で、事実関係の整理と資料の裏づけがより重要になります。

当法人では、事実関係と手元の資料をうかがったうえで、告訴状・告発状の作成をお引き受けしています。事案の内容によっては、告訴以外の方法(内容証明による請求、監督官庁への申出など)が適している場合もありますので、その点もあわせてご案内します。詳しくは告訴状・告発状・内部告発関連のページをご覧ください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する法的助言ではありません。制度は改正されることがあり、事案の内容によって結論が異なる場合があります。実際の手続きにあたっては、所管官庁の最新の公表資料をご確認いただくか、個別にご相談ください。
※ 行政書士は、官公署に提出する書類等の作成、提出手続の代理、相談を業務としています。訴訟代理・法律相談・登記申請・税務申告など、他の士業の独占業務は取り扱っておりません。

CONTACT

複雑な手続きも、
まずは状況をお聞かせください。

ご相談内容を確認し、対応可能な業務や必要な手続きを分かりやすくご案内します。

※ フリーメールをご利用の場合は、theofficelegal.com からのメールを受信できるよう設定をお願いします。

LINE お問い合わせ