行政機関への情報開示請求のやり方|対象文書の特定から決定まで
「行政機関が持っている資料を見たい」。そう思ったとき、どこに、何を、どう書いて出せばよいのか。開示請求の全体像を順を追って整理します。
「行政機関が持っている資料を確認したい」。トラブルの経緯を確かめたい、補助金の審査状況を知りたい、自分に関する記録を見たい——理由はさまざまですが、行政文書の開示を求める制度は、誰でも利用できます。この記事では、開示請求の進め方を順を追って整理します。
制度は「国」と「自治体」で別
最初に押さえておきたいのは、開示請求の根拠となるルールが2系統あることです。
国の行政機関に対して
行政機関情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)にもとづいて請求します。各省庁、財務局、労働局、地方入国管理局などが対象です。独立行政法人については、別の法律(独立行政法人等情報公開法)が適用されます。
都道府県・市区町村に対して
各自治体が定める情報公開条例にもとづいて請求します。条例の内容は自治体ごとに異なり、手数料の額、決定までの期間、請求できる者の範囲などに違いがあります。請求先の自治体の条例を確認する必要があります。
自分自身の情報の場合
自分に関する個人情報の開示を求める場合は、情報公開制度ではなく個人情報保護制度にもとづく開示請求を利用します。どちらの制度によるべきかは、求める情報の性質によります。窓口で相談すると案内を受けられます。
最大の関門は「対象文書の特定」
実務上、開示請求で最も難しいのがこの部分です。
請求書には、開示を求める行政文書を特定できるように記載する必要があります。「〇〇の件に関する資料一式」といった漠然とした書き方では、行政機関側で文書を絞り込めず、補正を求められます。
特定のための手がかり
- 行政文書ファイル管理簿:各行政機関は、保有する文書のファイル名や保存期間を記載した管理簿を公表しています。これを検索して、該当しそうなファイル名を探します
- 公表資料からの逆引き:公表されている通知や統計の出典から、元になった文書名を推測します
- 事前相談:多くの行政機関には情報公開窓口があります。何を知りたいのかを伝え、どの文書が該当しそうかを相談できます
この事前相談は、実務上とても有効です。「何が知りたいのか」を伝えれば、担当部署から文書の候補を教えてもらえることが多く、請求書の記載精度が上がります。
請求から決定までの流れ
1. 開示請求書の提出
所定の様式に、請求者の氏名・住所、求める行政文書の名称・内容を記載して提出します。窓口持参、郵送のほか、オンラインでの受付を行っている機関もあります。手数料は請求時に納付します。
2. 開示・不開示の決定
行政機関は、原則として請求があった日から30日以内に、開示するかどうかを決定します。事務処理上の困難など正当な理由があるときは、この期間を30日以内に限り延長できます。また、対象文書が著しく大量である場合には、さらに特例的な取扱いが定められています。
決定の内容は、書面で通知されます。全部開示、部分開示、不開示のいずれかです。
3. 開示の実施
開示決定の通知を受けたら、閲覧または写しの交付を申し出ます。ここで、請求時の手数料とは別に、開示実施手数料(写しの作成費用など)がかかります。文書量が多いと、この費用が大きくなることがあります。
不開示になる情報
すべての情報が開示されるわけではありません。法律や条例には、不開示とすべき情報が定められています。代表的なものは次のとおりです。
- 個人に関する情報:特定の個人を識別できるもの(氏名、住所など)
- 法人等の情報:公にすることで、その法人等の権利や競争上の地位を害するおそれがあるもの
- 国の安全等に関する情報
- 審議・検討等に関する情報:率直な意見交換や意思決定の中立性が損なわれるおそれがあるもの
- 事務・事業に関する情報:監査、契約、人事管理などに支障を及ぼすおそれがあるもの
実際には、文書全体が不開示になるより、該当部分を黒塗りにしたうえで開示される(部分開示)ケースが多くあります。
文書が存在しない場合
請求した文書を行政機関が保有していない場合は、不存在を理由とする不開示決定がなされます。保存期間が満了して廃棄されている、そもそも作成していない、といったケースです。
納得できない決定を受けたとき
不開示や部分開示の決定に納得できない場合、次の手段があります。
- 審査請求:決定を行った行政機関に対して行います。多くの場合、情報公開・個人情報保護審査会に諮問され、その答申を経て裁決が出されます
- 取消訴訟:決定の取消しを求めて裁判所に訴えを提起します(訴訟代理は弁護士の業務です)
審査請求は、決定を知った日の翌日から起算して一定期間内に行う必要があります。期間を過ぎると請求できなくなるため、決定通知に記載された教示文を必ず確認してください。
請求する前に考えておきたいこと
開示請求は誰でもできる制度ですが、次の点を事前に整理しておくと、無駄が減ります。
- 何のために必要なのか:目的が明確だと、対象文書を絞り込みやすくなります
- すでに公表されていないか:ウェブサイトや刊行物で公開済みであれば、請求せずに入手できます
- 不開示となる見込みはどうか:個人情報や審議中の情報が中心であれば、開示されない可能性が高くなります
- 費用と期間の見通し:文書量によっては、写しの費用が想定以上になることがあります
当法人では、事前の問い合わせの段階で非開示の決定が予測される場合には、委任契約の前にその旨をお伝えしています。見込みの薄い請求に費用をかけていただかないためです。
まとめ
開示請求の成否は、請求書を出した後ではなく、出す前の準備段階でほぼ決まります。対象文書をいかに特定するか。そのために、文書ファイル管理簿の確認と、窓口への事前相談が有効です。
当法人では、開示を求める対象の特定から、請求書面の作成・整理までを支援しています。行政機関がどのような単位で文書を作成し、保存しているのか——その内側の運用をふまえてご案内できる点が、当法人の特徴です。詳しくは個人向けの取扱業務、報酬額は料金ページをご覧ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する法的助言ではありません。制度は改正されることがあり、事案の内容によって結論が異なる場合があります。実際の手続きにあたっては、所管官庁の最新の公表資料をご確認いただくか、個別にご相談ください。
※ 行政書士は、官公署に提出する書類等の作成、提出手続の代理、相談を業務としています。訴訟代理・法律相談・登記申請・税務申告など、他の士業の独占業務は取り扱っておりません。
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